David Lawder
[ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米政権は東部時間24日午前0時1分(日本時間同午後2時1分)、相互関税の代替措置として各国からの輸入品に150日間限定で10%を課税する措置を発動した。ただ、ホワイトハウス当局者によると、政権は15%に引き上げる方向で検討している。
当局者はロイターに対し、1974年の通商法第122条に基づいて関税率を15%にするというトランプ大統領の考えに「変更はない」と言明し、政権が15%に引き上げる取り組みを進めていると明らかにした。ただ、変更時期に関する詳細は示さなかった。
トランプ氏は20日、連邦最高裁が違憲と判断した関税に代わって各国からの輸入品に150日間限定で10%を課税する大統領令に直ちに署名し、21日にはその税率を15%に引き上げると表明した。最高裁が無効とした関税の徴収は新関税の導入と同じタイミングで停止された。
<税率はなお不透明>
ただ、トランプ氏は23日の時点で15%への引き上げに関する正式な大統領令に署名していない。税関・国境警備局(CBP)は新関税発動前の23日深夜0時前に、通知で税率が10%になるとしたが、低い税率が採用された理由については説明しなかった。CBPは公表された大統領令と布告に基づいてのみ行動できる。
政権によるこの新たな動きが、米国の貿易政策を巡る混乱をさらに深める中、ドイツ銀行はメモで「トランプ大統領は今夜、一般教書演説を行うため、関税の行方を巡りより明確な見通しが得られる可能性がある」と言及した。その上で「われわれは依然として、実効関税率は今年低下し、連邦最高裁判所の判決後の世界は、判決前の世界よりも関税が低くなると考えている」との見方を示した。
トランプ氏は関税発動の根拠として、年間1兆2000億ドルの米国の財(モノ)の貿易赤字、国内総生産(GDP)の4%に相当する経常収支赤字などを主張。一方、一部のエコノミストや貿易法専門家は、米国は国際収支危機の瀬戸際にあるわけではないとし、新たな関税は法的に争われる可能性が高いと指摘している。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カーステン・ブルゼスキ氏は、新たな関税措置が150日間という期限付きであっても、貿易を巡る不確実性がすぐに解消される可能性は低いと指摘し、トランプ氏は1日の中断を挟んで150日間を無限に延長できる可能性があると述べた。
<各国の反応>
こうした中、中国商務省は24日付の声明で、中国は米国に対し「一方的な関税」の撤回を求めるとともに、中米間で新たな貿易協議を開催する用意があることを示唆。米国の政策を注視しており、米国の関税への対抗措置を調整するかどうかを「適切な時期に」判断するとの考えを示した。
新たな10%の関税は、15%の基本関税率で貿易協定に合意した欧州連合(EU)にとっても難問となっている。EUのシェフチョビッチ委員(通商担当)は、EUは新たな暫定関税を巡って「移行期間」に直面していると述べる一方、米国の貿易当局者らは米国が協定を堅持することを確約したと明言した。
<関税返還請求の動き>
最高裁の違憲判断を受け、原告らは24日、すでに支払った関税の返還を求めて連邦裁判所に手続きを始めた。中小企業5社を代表するリバティ・ジャスティス・センターは、ニューヨークの国際貿易裁判所とワシントンの連邦控訴裁(高裁)に共同で申し立てを行い、政府に関税を利息と合わせて返還するよう求めた。
ロイターは先に、ペン・ウォートン予算モデル(PWBM)の試算に基づき、過去1年分を中心に少なくとも1750億ドル規模の関税収入が返還対象となる可能性があると報じている。