OECDの生活時間統計から、国別の通勤時間が分かる。これを労働生産性と関連づけてみると<図1>のようになる。後者は、就業者1人あたりのGDP額だ。

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通勤時間が長いほど労働生産性が低いという、うっすらとした傾向がみられる。27カ国のデータによる相関係数は-0.403だ。

職場のICT(情報通信技術)化の度合いなど、労働生産性の要因は他にも色々あるだろうが、長時間通勤も影響していると思われる。郊外から都心という一方通行の「痛勤」が支配的な日本では大きなマイナス要因になっているだろう。今回の試算だと、その額は1日で1424億円だ。

長時間通勤がなくなれば、事態はどれほど変わるだろうか。IT化の進行により、一つの空間に集まって仕事をする必然性は薄れており、在宅勤務(テレワーク)も少しずつ広がっている。オフィスの分散を図り、早朝の集中通勤を緩和すべく時差通勤の導入も求められる。「9~17時」という定型に全ての事業所が拘る必要はない。

ブラック労働の指標として長時間労働や薄給があるが、長時間の「痛勤」もそれらに劣らないマイナス要因だ。給料が安くてもいいから長時間通勤は御免こうむりたい、そう考える若者も増えてくるかもしれない。

個人・社会の双方にとって大きなマイナスであることは、今回の試算から見ても明らかだ。

<資料:総務省『社会生活基本調査』(2016年)

    厚労省『賃金構造基本統計調査』(2016年)

    OECD「Gender Data Portal」

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