だが同アウトレットのオープンからほどなくして、北朝鮮は金正恩氏の下でミサイル・核実験の実施ペースを加速させた。同氏は2011年12月に父親の金正日氏が死去した後、北朝鮮の指導者となった。

「発射実験によって観光客の関心が衰えているということは全くない」と、観光事業を担当する坡州市職員は匿名で語った。「悲しいことだが、それは日常生活の一部となっている」

北朝鮮の脅威を正常化することは、韓国の「防衛機制」の1つだと、ソウル大学校の心理学教授であるKwak Keum-joo氏は指摘する。

「海外に行くと、北朝鮮を不安に思うのに、韓国に戻るとそれを忘れてしまう」とKwak教授は語った。

南北朝鮮を隔てる臨津江の南側にある小さな村、万隅里に暮らす74歳のWoo Jong-ilさんにとって、それほど気楽な話ではない。

Wooさんは、北朝鮮から飛んできた銃弾によって村民が負傷し、隣の家が被害を受けた1970年代初め、自宅の裏庭に地下シェルターを造った。

「今でも時代遅れとは思わない」と、家族7人が入るのに十分な広さである暗い地下シェルターを案内しながら、Wooさんはこう語った。

「不安に感じる。感じない方がおかしいだろう。前線にいて、犠牲となるかもしれないのだから。北との関係がいつ悪化しても、このシェルターが私を安心させてくれる」

(Hyunjoo Jin記者、Haejin Choi記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ソウル 26日 ロイター]
120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます