そこでは、学習時間が終わると、広いラウンジに男女の子どもたちが集まって来た。卓球で遊ぶ子もいれば、ソファに座り漫画を読む子もいた。どこにでもある寮の風景だ。ただ、ほぼ全ての壁やドアにキックやパンチによる損傷があり、紙やガムテープでおおわれている。職員が会話の内容を把握できるよう、子どもたちがひそひそ話をすることも禁止されている。

昨年3カ月以上を都内の一時保護所で過ごした9歳の女の子は、施設ではよく叱られ、息が詰まるような生活だったと語った。自分を殴った母親がいる自宅でも、帰りたかったという。

「テレビの時間は、テレビを観なきゃいけない。しゃべったりしたら、『前を見なさい』と言われた」と女の子はロイターに語った。

女の子がいた施設の職員は、保護する児童数が定員を25%もオーバーすることが時々あり、管理は厳しくなりがちだと言う。

国立成育医療研究センターの奥山眞紀子医師は、多くの子供にとって、一時保護所での経験は多くの子どもにトラウマに近いストレスを与える性質のものだと警鐘を鳴らす。

同医師に対して、ある10代の少女は、自傷行為をすると、職員からカウンセリングやケアではなく、罰を与えられると語ったという。自傷行為は、性的虐待の被害者によく見られる行為だ。

国の児童福祉制度の見直しに関する検討会で座長も務める奥山医師は、本当の改善は、里親制度が日本の社会に広まった時に起こるだろうと予測する。「今の一時保護所のあり方でいいのか、考える必要がある。一時保護所の様に特別なところに子どもを置くのは、数日にすべき、という話だ」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Chang-Ran Kim

[東京 22日 ロイター]

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