中国の外交戦略にまんまと引っかかる形で訪中し、王毅外相がこのようなことを発表する隣に仲良く立っていたドイツの外相は、果たして中国のこの戦略を知っていたのだろうか? こういった形でのけん制作戦に関して、中国が長けていることは、どの国の指導者も知っておくべきだろう。

 ただ、広島宣言では核保有国に対する「保有の透明性の向上」も要求しており、これは保有実態が不透明だと指摘されている中国を念頭にしていることを忘れてはならない。

 これに関しては、中国は触れていない。

 むしろ、アメリカの現役の国務長官が広島を訪問したことを「謝罪」と受け止めて、アメリカ国民の一部が反発している情報は、積極的に発信している。

 今後予定されている岸田外相の訪中と、G7伊勢志摩サミット(首脳会議)に参加するオバマ大統領が広島を訪問するのか否かに関して、中国がどう動くのか注目していきたい。

[執筆者]

遠藤 誉

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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