子供が吐いたものの中に血が混じるように

しかし嘔吐は収まらず、フィンリーが吐いたものの中に血が混じるようになると、メリンダのなかで医師たちの言葉よりも自分の直感を信じる気持ちが強くなった。「何としてでもはっきりした原因を突き止めなければと思った」とメリンダは言う。「最初の病院では『ただの鼻血だろう』と言われたが、納得できずに別の病院に行った」

そのセカンドオピニオンが、事態を一変させた。数時間後にCT検査が行われ、脳に3センチの腫瘍が見つかったのだ。その24時間後には、フィンリーは緊急手術を受けることになった。

後に判明した腫瘍は「非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(ATRT)」というまれな小児脳腫瘍で、米セントジュード小児研究病院によれば年間に診断される子供は100人未満。多くは3歳未満の幼児であり、悪性度の高い脳腫瘍だという。

診断を受けたその日は、メリンダにとって決して忘れられない日になった。鎮静剤を使ってCT検査を受けた後、医療スタッフが「スキャン画像がぼやけて見える」としてMRI検査を勧めた。その後、医師が家族を個室に呼び、フィンリーを抱いたメリンダに「腫瘍が見つかった」と説明したのだった。

「私はフィンリーの顔ばかり見ていた。『これはうちの子の話じゃない、何かの間違いだ』と思ってた」とメリンダは語る。「まるで他人の話を聞いているみたいだった」

フィンリーの手術は朝8時に始まり、終わったのは12時間近く経ってからだった。数日間は「腫瘍を摘出した」という情報しか知らされておらず、2週間後にようやく正式な診断が下された。それがATRTだった。

これから高用量化学療法の段階に進む
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