大脱出

 著者:アンガス・ディートン、松本裕(訳)

 出版社:みすず書房

 要約を読む

「消費、貧困、福祉についての分析」が評価され、2015年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のアンガス・ディートン教授。本書は彼の著作の中で唯一、日本語訳が発表されている書籍です。

本書のタイトルにもなっている「大脱走」とは、「人類が貧困と早すぎる死から逃れ、生活水準の改善を果たしてきたこと」を指しています。ただ、「脱走」が成功したのは一部の先進国であり、多くの開発途上国はいまも逃れるには至っていません。

さらに本書では、援助国による経済支援が貧困の原因を作っていることも指摘します。通常、国際援助は二カ国の政府間によって行われますが、支援金が被援助国の政府高官の懐に入り、本当に援助が必要な層にゆきわたらないケースも少なくありません。

政府は自動的に支援金を得られるため、国民に対する課税の努力をせず、汚職がさらに進むという悪循環に陥ってしまうのです。

開発途上国が経済的に発展し、健康や幸福度などの生活水準を上げるにはどうすればいいのか。本書を読んで考えてみてはいかがでしょうか。

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