<停戦を急ぐトランプが、プーチンの仕掛けた罠に絡め取られつつある。米ロ会談は、果たしてどちらの思惑に傾くのか>


▼目次
1.心変わりしたトランプ、その裏にある思惑
2.トランプを取り込もうとするプーチンの策略
3.米ロ会談で制裁先送り、安堵するロシア当局

1.心変わりしたトランプ、その裏にある思惑

ウクライナ戦争に関するドナルド・トランプ米大統領の姿勢の変化は、筆者を含む批判派を当惑させてきた。

トランプは1期目からずっと、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をたたえてきた。

その一方で、ウクライナとウォロディミル・ゼレンスキー大統領のことは徹底的にコケにしてきた。2月に訪米したゼレンスキーに対する塩対応は、その格好の例だろう。

ところが7月、急に風向きが変わった。プーチンとの電話会談後、トランプは「失望した」と述べ、「(プーチンは戦争を)やめようとしていないと思う。ひどすぎる」と語ったのだ。

それからしばらくは、リベラルな国際主義者にとって夢のような出来事が続いた。

トランプはウクライナへの武器供給を一部停止するという国防総省の決定を覆したほか、ロシアが50日以内に停戦に応じないなら、大規模な追加関税を適用すると発表した。

ついにトランプが、ウクライナではなくロシアに圧力をかけ始めた――。従来のトランプ批判派は大喜びした。

だがそれは、トランプが国家主権や民主主義といった理念を急に重視するようになったからではなく、あくまで自分のメンツをつぶされたと思ったからである可能性が高い。

2.トランプを取り込もうとするプーチンの策略

プーチンがトランプの脅しに屈することなく、執拗にウクライナ攻撃を続けたことは、「大統領に就任したら(ウクライナ)戦争を24時間で終わらせる」と豪語してきたトランプをあざ笑う行為に見えた。

newsweekjp20250822072904.jpg
WILL OLIVER―POOL―EPA―REUTERS

さらにプーチンは、トランプに罠を仕掛けた。それが8月15日のアラスカでの米ロ首脳会談だ。

【note限定公開記事】「戦争はウクライナの選択によって始まった」――プーチンが仕掛けた米ロ首脳会談の罠


ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ

公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。

Foreign Policy logo From Foreign Policy Magazine

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 戦争インフレ
2026年4月28号(4月21日発売)は「戦争インフレ」特集。

ホルムズ海峡封鎖でガソリン・日用品が高騰。世界経済への悪影響と「出口」を読み解く

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます