わたしは、40年近くも文章を書くことによって生きてきたわけですが、このことに気付いたのは、間抜けなことに、ごく最近です。百姓や猟師を始めましたから。人間は、生きるために、他者を必要とする。ここで言う〈他者〉とは、人間だけではない。他の動物や植物、命あるもの、その命をいただいて、わたしたちはようやっと生きている。だからこそ、ただ生きるのではだめだ。善く、生きる。懸命に、生きる。自由に、生きる。そうでなければ、他者の命に申し訳が立たない。

そんなことを、著作『三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾』『百冊で耕す〈自由に、なる〉ための読書術』に書きました。

さて、言葉は人間にとって本来的な存在要件でありますから、当然、わたしも多くの言葉によって生かされてきました。ベスト5なんてとても選べませんが、思いつくままに5つ並べてみます。

【1】白い飯に塩かけて食えりゃごちそうだ

これは、自分の父親に言われたことです。恥ずかしい話なんですが、わたしの父親はやくざなギャンブラーで、警察のご厄介になったこともある、とんでもない人間でした。大きな借金を作り、それをわたしが肩代わりさせられたり。たいへん憎み合っていました。

とても尊敬できる人間ではないですが、わたしがまだ小学生だったか、親父が貧しい食卓でこう言ったのは、よく覚えています。白いおまんまに塩をかけて食えればごちそうだ。おかずがどうの、うまいのまずいの言うな。

死ぬまでは生き生きと生きよ
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