言語を奪われるチベット人

中国政府は現在も、チベット人の弾圧を続けている。

1949年に中国を統一した中国共産党は、その後にチベットに侵攻、1951年に同地を制圧した。共産党はその後、各地で虐殺を行うなどチベット人を弾圧したため、チベット全域で動乱が発生。この動乱は鎮圧されたものの、1959年にダライ・ラマ14世はインドのダラムサラに亡命することとなった。

【画像】近現代チベットの略史

その後、ダライ・ラマ14世は同地で亡命政府である「中央チベット政権」を設立。当初は亡命政府の政治・宗教のトップを務めていたが、現在、ダライ・ラマ14世は政治トップの座は首相に譲っている。

一方、中国のチベット自治区では、ダライ・ラマ14世の亡命後も文化大革命で貴重な文物が破壊された他、チベットの独立や権利拡大を目指すデモが起これば戒厳令が敷かれ、チベット人が何百人も殺されてきた。

今なお、チベット寺院の僧侶による抗議の焼身自殺も後を絶たない。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ・ツェワン・ギャルポ代表は本誌の取材に、2009年以降だけでも157人以上が焼身自殺を遂げたと述べた。

文化的弾圧も深刻で、最たる例がチベット語の教育の急速な縮小だ。多くのチベット語教育を行う学校が閉鎖に追い込まれている。中国政府が教育や文化を奪うことで、チベットの漢民族への同化を進めているのだ(参考記事:言語を奪われ、社会が崩壊する...150人以上が「焼身自殺」、中国支配のチベットの実態)。

アリヤによると、チベット人の学生がチベット語よりも中国語を流暢に話すようになってきたため、親子のコミュニケーションが困難になっているチベット人の家庭もあるという。

またアリヤは、チベットのアイデンティティー、文化、仏教思想を守り、理解するためにはチベット語が必須なので、チベット人の力の源泉でもあるチベットの文化と仏教の勢力衰退にもつながると指摘する。

最近では、チベットの英語表記を「Tibet」ではなく、中国語名(西蔵)をスペルアウトした「Xizang」とするなど、中国政府はチベットを同化させようと躍起になっている。

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