中国は最悪の事態を想定し動き始めている

中国政府は最悪の事態を想定しているようだ。ロイターによれば、中国は輸入・国内生産量の一部を製油せずに備蓄に回すことで、原油在庫を積み増しているという。本誌は中国外交部にコメントを求めているが、回答はまだ得られていない。

また、中東での混乱は、世界有数のエネルギー輸出国であるロシアにとっては直接的な利益にもなりうる。

「イスラエルによるイラン攻撃の開始とともに原油価格は急騰した。これは、石油市場がリスクの増大を認識していることを示している。しかし、世界経済への影響について具体的な判断を下すのは時期尚早だ」と、米ランド研究所のハワード・J・シャッツ上級エコノミストは指摘する。

「今後の判断材料として注視すべき2つのファクターがある。第1に、イランが湾岸アラブ諸国の石油インフラを攻撃するかどうか。第2に、ホルムズ海峡の通航が遮断されるかどうか。このいずれか、あるいは両方が発生すれば、エネルギー価格はさらに高騰し、世界的不況のリスクが高まる。一方で、どちらも発生しなければ、リスクは高まるものの、世界は比較的穏やかな価格上昇に適応可能であり、世界経済は少し鈍化する程度で済む」

世界の指導者たちは、中東における緊張緩和に向けて動き出している。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日に電話会談を行い、イランへの空爆により緊張を激化させたとしてイスラエルを非難した。

中国国営の新華社通信によると、習は「もしこの紛争がさらにエスカレートすれば、交戦当事者のみならず、中東諸国も甚大な被害を受ける」と述べた。

「特にイスラエルを含む関係各国は、事態のさらなる悪化を防ぐため、即時停戦を実現し、戦争の波及を断固として回避すべきである」

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