それに米ドルが割高な現在の為替レートでは、カナダやオーストラリアで製作したほうがずっと安くできる。この問題も関税では解決しない。
米議会は映画スタジオに連邦税の優遇措置を与える法律を作るべきだ。これは前向きな政策であり、関税に比べてずっと害が小さい。
映画産業は世界におけるアメリカの「ソフトパワー」に不可欠な存在だが、地域経済の強力なエンジンでもある。映画やテレビ番組の制作には、俳優や監督から技術者、仕出しスタッフ、輸送サービスまで、幅広い人材が必要になる。これにより雇用が創出され、地元住民に賃金が支払われるので、地域経済に直接資金が流れ込む。
映画クルーには宿泊施設、食事、交通機関、その他のサービスが必要なので、ホテル、レストラン、レンタカーなどの地元企業の収益が増える。
近年の例で見ると、ジョージア州では『ブラックパンサー』の製作に3100人以上の現地労働者が参加し、2650万ドル以上の賃金が発生した。カリフォルニア州では、テレビドラマ『THIS IS US/ディス・イズ・アス』が6150万ドル以上の経済効果をもたらした。ニューヨークでは映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』や『グレイテスト・ショーマン』によって、合計1億800万ドル以上が地元に流入した。
大統領の診断は正しい。映画産業には支援が必要だ。ただし、正しいやり方でハリウッドを偉大にしよう。成長を阻害しかねない関税ではなく、投資とインセンティブで。
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