<中国による北朝鮮への影響力は限定的に>

「北朝鮮は、自国の兵士や物資をウクライナ戦争でロシアのために提供する見返りとして、SA-22地対空ミサイルシステムや電子戦装備など、ロシアからの軍事的協力をほぼ確実に受けている」とDIAの年次脅威報告書は述べている。

これは北朝鮮が軍事的冒険に乗り出したことに対して、米韓両政府が以前から抱いていた懸念を反映している。

北朝鮮は中国に大きく依存している。公式な貿易統計を見ると、2023年には98.3%を中国が占めた。このことからも、中国は国際社会から孤立している北朝鮮に対して強い影響力を維持しているといえる。

しかし、金正恩が国連による制裁の要因ともなっている核兵器計画を拡大しようとしていることなどから、影響力には限界があると考えられている。

「北朝鮮のロシアとの関係強化は、中国に対抗する試みである可能性が高い」とDIAは述べている。

この所見に関し、エベレスはX(旧ツイッター)上に、「中朝両国の関係についてはしばしば切っても切れない関係と語られるが、実際には、両国は軍事問題に関して互いを信頼していない。ただ、北朝鮮は中国から喜んで物資を購入している」と投稿した。

ロシアと北朝鮮は核兵器を保有し、国際的に孤立しているという共通点を持つにもかかわらず、北朝鮮とロシアの関係が進展している。中国はメンツを傷つけられてしまうことや、西側諸国の軍事的関心が自国周辺に集まってしまうことなどから、内心穏やかではないと考えられる。

とはいえ、専門家たちは、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席がアメリカ中心の世界秩序からの脱却という取り組みの中で、この新たな現実を受け入れる覚悟があると見ている。

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