第2次トランプ政権は最初の数カ月で、ナイが浸透させる力になったソフトパワーに対する取り組みを見事に放棄した。

米国際開発庁(USAID)を解体し、人道的・人権的活動に従事する市民団体への資金提供を削減した。移民や外国人のビザを制限し、大学や研究機関を攻撃し、世界各地における外交的プレゼンスを縮小した。

国の理想が消えゆくなかで

一方で、ドナルド・トランプ米大統領は大西洋を横断した同盟関係には無関心だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を甘やかし、カナダ、パナマ、グリーンランドを脅した。一貫性のない関税政策は、アメリカの戦後アイデンティティーの土台に亀裂を入れた。

ナイはこの巻き返しを目の当たりにした。死のちょうど1週間前、彼はCNNのインタビューで語った。

「トランプ大統領はソフトパワーを理解していないと思う。パワーを棍棒、ニンジン、ハチミツに例えるなら、彼はハチミツを捨てた。だがこの3つが互いに補強し合えば、より多くの成果がある。ハチミツという魅力があれば、ニンジンと棍棒を使わずに済むかもしれない。だからUSAIDの人道支援の中止のようなものは、パワーを発揮する主要回路の1つを失うことを意味する」

今年5月1日、CNNのインタビュー
避けるべきゼロサムゲームの罠へ
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