ここまでの成功はマイケルディズも予想していなかった。「11人全員に効果があった。11人中4人ではなく、11人全員に。驚異としか言いようがない。事実だと認識していなければ信じられないだろう」と、彼は驚きを口にする。

研究チームは目下、治療を普及させようとイギリスとヨーロッパの規制機関、さらにアメリカのFDAなどに働きかけている。承認は1〜2年で下りるとみられている。

とはいえ今は手術から数年しかたっておらず、視力が改善された状態がいつまで持続するかは分からない。

効果が生涯続くことを願うとした上で、マイケルディズはこう語る。「視力が向上したことでコミュニケーションや行動、移動の領域でも進歩が見られた。こうした効果は一生ものだろう」

ハービーの母ジェシカもうなずく。「うちの子たちも変わった。初めてハービーも交えて、みんなで遊ぶようになった」と、彼女は言う。

「それもきょうだいで『ごっこ遊び』をしている。先生ごっこや飛行機ごっこなど、視力が必要な遊びを。こんな光景は初めてだ」

ジェシカはこう締めくくった。「ハービーが少しずつ友達をつくり、交友関係を広げるのを見ていると心が躍る」

【参考文献】

Michaelides, Michel et al., Gene therapy in children with AIPL1-associated severe retinal dystrophy: an open-label, first-in-human interventional study. The Lancet, Volume 405, Issue 10479, 648 - 657 (2025)

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