実は、日本には広義の税である社会保険料も含めると数兆円規模の徴収漏れがあると言われている。せっかくマイナンバー制度を導入したのだから、将来的に国税庁と日本年金機構を統一して歳入庁を新設し、この問題の解決にあたるぐらいの構想力が欲しい。

 特に首相直属の経済財政諮問会議には、マクロ経済運営の王道を行くようなスケールの大きな政策論議を期待したい。それができれば、本当の意味でのリセットができると思う。

五輪後にらみ官民共同でリニア新幹線整備

 もう1つ、リセット感につながるスケールの大きな構想として、供給力の強化をもたらす国家プロジェクトを提唱したい。公共インフラの運営権を民間に売却するコンセッション方式を活用したリニア中央新幹線整備計画だ。

 JR東海は、リニア新幹線について27年にまず東京(品川)―名古屋間、45年に大阪までの延伸開業を目指すとしているが、悠長すぎるように感じる。一企業に荷が重いならば、名古屋から先は公共事業として整備し、その運営を民間に委ねる手法も検討の余地があるだろう。そのうえで、27年の東京―大阪間の全面開業を目指せば良い。

 これは、20年の東京五輪後の日本経済を考えるうえでも、期待をつなぐ目標となるのではないか。振り返れば04年のアテネ五輪後、ギリシャには財政赤字が残った。それを見た英国は12年のロンドン五輪に向けて「レガシー」という言葉を使い、五輪後に何を残すかを考えた。そして国際会議や展示会などMICE(マイス)に対応した都市づくりを進め、実際、ロンドンは今やMICEの先進地となっている。

 日本も五輪後にますます厳しい財政状況が予想されるのだから、民間の活力を生かしつつ期待をつなぐための大きな仕掛けを今から考えるべきではないか。リニアが難しいと言うならば、例えば人口20万人以上の全都市にコンセッションを義務づけるのはどうか。大きな金額が動くだけでなく、「行革」の側面も持ち得る。

 こうした構想は、絵に描いた餅とは思わない。国家戦略特区でもすでに進展はある。農業分野に企業が続々と参入している兵庫県養父市や、国内では事実上38年ぶりとなる医学部新設が決まった千葉県成田市などはその好例だ。

 また、コンセッションについても、仙台空港と関西・伊丹空港の引き受け主体が決まったほか、上下水道や高速道路でも計画が具体化している。このうち関空のケースは、世界的に見ても大きな規模だ。こうした動きが加速すれば、リセット感は高まるだろう。

TPPは最高の安全保障、日本は先行批准も選択肢

 最後に重要な点を言い添えれば、15年に環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意に至ったことは、安倍政権の大きな成果だ。