悲しい人だけが見える

クロエは「それ」を死んだ友人ナディアだと考え、観客は最後までこの考えに振り回されることになる。クリスが助けを求めた霊能者によれば、クロエが「それ」を感じるのはトラウマを体験したからだ。

「それ」は自分がなぜ存在しているか理解しておらず時空の感覚もずれているため、過去あるいは未来のいずれかの出来事と結び付いている可能性があると、霊能者は言う。

両親が一晩家を留守にしたある日、ライアンはタイラーに薬を飲ませた後、クロエにも薬を飲ませる。クロエが昏睡状態でベッドに横たわっていると、ライアンはナディアを殺したのは自分だと明かす。同様にオーバードーズで死亡したとされた別の女の子も自分が殺したのだと言う。

映画の終盤、レベッカが深い悲しみをたたえて窓から外を眺めている。家の中は空っぽで、一家は引っ越そうとしている。「それ」がレベッカの隣にいて、彼女は初めてその存在を感じる。今は彼女も心を痛めているからだ。

レベッカはクロエに、まだ家を眺めていたいと伝え、リビングに入る。暖炉上のアンティークの鏡をのぞくと......。

このエンディングには背筋が凍り付いたが、恐怖で跳び上がったわけではない。あるインタビューで、本作をホラーだと考えるかと問われたソダーバーグはこう答えている。

「ホラーといえば血が出てくるだろう? でもこの映画には血は出てこないし、跳び上がって叫ぶような場面もない。幽霊映画というのがふさわしい呼び名だろうね」

『プレゼンス』はホラーではないが...
【関連記事】