人間の限界を感じた
しかし、母グマは再びしゃがんで川の水を飲み始めた。それから子グマたちを呼び集め、一緒に森の中へ戻って行った。助かった。私たちはカヌーに乗り込み、しばし無言で川の流れに身を任せた。
ああ、人間なんて取るに足りない存在なんだ。そのことを、私は肌で感じていた。
悔いはない。むしろ気付かされた。家族や仕事、あるいはこの国の政治を、私は日々思ってきたが、実はもっと大きな文脈、このかけがえのない青い惑星の文脈で考える必要があったのではないか。あのハイイログマは野生そのもの。遭遇したときに感じた恐怖や人間の限界。あれで私は目覚めた。そしてこの世界を、まったく違う目で見られるようになった。
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