トランプの復活に関しては、アメリカの大学と主流派メディアにも責任がある。民主党への建設的な批判を行わず、党内左派が党の未来を決める状況をつくり出したのだ。学術的な議論から保守的な主張が次第に排除されていき、いわゆるキャンセル・カルチャーが長年野放しにされてきたことで、民主党は一般の有権者と乖離してしまった。

大学のキャンパスや主流派メディアでもっとバランスの取れた議論がなされれば、民主・共和両党の政治家が経済政策に関して、正確な知識に基づく中道主義的な路線を取るよう促せるかもしれない。

アメリカ経済に2度目の「トランプ・ブーム」は訪れるのか。その可能性はあるが、今回は前回ほど簡単にはいかないだろう。

バイデン政権から堅調な経済を引き継ぎ、当座の景気刺激策を実行すれば、最初の1年は経済が急成長するかもしれない。しかし、勢いは長続きしない可能性がある。

世界経済がつまずき、地政学的な緊張が高まっている状況で、アメリカ経済が試練にさらされることは避けられない。新しい政権で経験の乏しい面々が多く登用されれば、政権初期に直面する経済的な難局を乗り切ることは簡単でないだろう。

もしそうなれば、好景気が実現したとしてもすぐに終わりを迎えるだろう。ドナルド・トランプの政権で初めて、感染症のパンデミック以外の理由による景気後退を経験することになるかもしれない。

©Project Syndicate

newsweekjp20241225014656-eae3df5251c152a1cc9cb7c49221be81d158af70.jpgケネス・ロゴフ

KENNETH ROGOFF

元IMFチーフエコノミスト。ハーバード大学教授(経済学)。著書に『国家は破綻する──金融危機の800年』(共著)など。
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