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アゾフ海に面したタガンログにあるロストフ州立第2拘置所。路面電車が走る通りから塀を隔てた内側で、キリルたちに試練が待ち受けていた。

「タガンログに到着したとき僕たちは疲れ切っていたが、待っていたのは厳格な『接待』だった。初日は8人、2日目は6人が殴り殺された」

オレニフカの爆殺事件が世界中で報道されるなか、人の目が届かない拘置所は無法地帯と化していた。「2年半の捕虜生活で、あなたが最も絶望を感じたのはいつですか」との問いかけに、キリルはこう答えた。

「体に電気を流して尋問されたときだ。タガンログで迎えた誕生日の2日後だった。負傷していた膝を電極で挟まれた時の痕は消えない」

元捕虜の80%が性暴力被害

拷問の頻度に規則はなく、週に1度、隔週などさまざまだった。看守が使う道具は木づち、バット、塩ビのパイプなどで、爪の内側を針で刺すこともある。拷問による傷痕はキリルの肩や腰、腕など全身にあった。

性的虐待を受けた捕虜もいた。キリルと同じ日に解放されたエルダー・メノメログ(34)は、軍用車KRAZで戦っていたアゾフ大隊の兵士だ。彼はオレニフカ、カムイシンを経由して、ボログダ州のパチーノにある刑務所に送られた。そこで今年8月、ロシア人の囚人から極めて非人道的な行為を受けたという。

元捕虜の約80%が性暴力を経験
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