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拘置所で起きた性暴力について証言した元捕虜でアゾフ大隊のエルダー TAKASHI OZAKI

「彼らは私の後ろでズボンとパンツを脱ぎ捕虜の顔や尻に男性器を挿入し始めた。刑務官はそれを見て勃起していた。私は挿入のまねをされただけだった。捕虜の恐怖をあおることが目的だったと思う」

イラクのアブグレイブ刑務所であった拷問を想起させる。話を聞いた時、そばにいたキリルは「彼らは僕たちの唇と背中にも同じようなことをした」と言った。

この問題についてヒューマン・ライツ・ウォッチのクセーニャ・クイトカ研究員は10月3日、キーウ・インディペンデントに以下のような寄稿をした。

「元捕虜のために働く軍事心理学者によれば元捕虜の約80%が性暴力を経験していた。ロシアによる本格的な侵攻開始以来、ウクライナ検察庁はロシアの拘束下にあった市民・捕虜の男性114件、女性202件の性暴力を記録している」

ロシアとウクライナによる捕虜交換は、昨年8月に48回目を実施後、ロシアによって長く停止されていた。22年に解放されたアゾフ大隊の司令官デニス・プロコペンコらが第三国のトルコにとどまるという約束をほごにし、昨年7月にウクライナに帰還したことも影響した。ロシア政府はこれを「合意違反」と指摘した。

そんな状況を打開するため捕虜になったアゾフ兵士の家族が立ち上がったのは昨年12月、雪の首都キーウだった。「アゾフ兵士を解放せよ」と書いたプラカードを掲げ、約200人がデモを始めた。

「Жінки зі сталі(鉄鋼の女たち)」という団体で活動していたキリルの母スベットラナも世論の高まりを期待した。捕虜の捜索でマリウポリの検察に協力を求めても、「ロシアは変わらない」などと言われ相手にされずにいたからだ。

※第3回:2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか に続く

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