それでも『ポップスター・アカデミー』は、今や姿を消した往年のある種のリアリティー番組の再来という印象が強い。これはカルチャー史の視点からも重要だ。ただ面白いだけでなく、ポップ業界の内側をのぞかせてくれる作品だからだ。

20年ほど前の音楽リアリティー番組は、若年女性を必要とする業界の構造、成功するグループづくりのために検討すべきあらゆる細部について教えてくれた。スターグループを生み出すのは、実はとても大変であることも。『ポップスター・アカデミー』の場合、それだけではない。かつての番組をなぞりながら、韓国と欧米のメディア手法の興味深い対比を提供している。

もちろん、これはハイブとゲフィンの賢い戦略でもある。同作は、カネのかかる企画のファン基盤を強化し、前例のないプロジェクトという主張に肉付けするのに貢献している。目新しいやり方ではないものの、韓国の業界は手本にした欧米モデルを磨き上げ、成功確実にみえるメソッドとして完成させている。

ハイブの拡大路線は、これで終わりではない。同社は8月1日、グローバル展開を推し進める新事業戦略「ハイブ2.0」を発表。その一環として、ハイブ・アメリカ経由で、米ポップシーンにKポップを注入しようとしている。

KATSEYEがもくろみどおりに成功するか、答えはまだ分からない。だが少なくとも、『ポップスター・アカデミー』はあることを証明している。ポップ業界を描くリアリティー番組がついにカムバックした、と。

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