声を上げる自由を奪うな

今後、第三者委員会が事実確認のため、弁護士を介して被害女性と接触するかもしれない。その聞き取りの際に、中居正広が被害女性に対してかけた呪い、すなわち口外禁止条項が枷になってはいけない。「示談書で約束したので言えません。本当は言いたいけど、言えません」ということは、あってはならない。

暴論だろうか。

フジ幹部たちは、自分たちにとって都合の良いときだけ「被害者のプライバシー」を連呼し、盾に使った。『まつもtoなかい』という冠番組を続けたのは「被害者を刺激しないためだ」と言いながら、一方で特番に中居正広を出し続けた。加害者に王冠をかぶせ続けた。

特番で起用しテレビ画面に露出させることのほうが、被害者にとってずっと大きなストレスになりそうなものだが、フジ幹部たちはそう思わなかったのだろうか。彼らの思考回路は、支離滅裂に見える。

今後、第三者委員会によって色々なことが明らかになるよう願うばかりだが、そのためにはまず、中居正広がかけた呪いを解かなくてはいけない。

日本人は「約束」に厳しい。示談書の取り決めを破るのは不道徳であり正しくないと思うかもしれない。だが、中居正広はそんなことよりはるかに不道徳で非人道的なことをしたかもしれない。少なくとも、金の力で被害女性の口をつぐませた(そうとしか見えない)のは、卑劣としか言いようがない。その金は、元はと言えば私たちの声援によって生み出されたものだ。

そもそも示談に応じなければ良かったと言う人もいるだろう。だが、心身に傷を負いながら権力者にたった1人で立ち向かうことは、とてつもない困難だったに違いない。早く終わらせたいと思って示談に応じたのなら、私は何も責める気になれない。

被害女性が口外禁止条項を破って損害賠償請求された場合には、どうか皆様も金銭的なサポートを手伝ってもらえないだろうか。そして、被害者に声を上げる自由を取り戻させて欲しい。真実にたどりつくには、それしか道がない。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます