山本太郎議員は1月17日に会見を開き、この件について釈明した。山本議員もまた、ボランティア団体との連携のうえで現地入りしており、炊き出しのカレーも被災者やスタッフが食べ終わったあとの残りものを、すすめられたので頂いたということだった。食事を共にするというのは、現地の人々と本音で語り合う手段の一つでもある。そもそも国会議員が被災地を視察するのは普通のことであり、原則的には批判されることではない。もちろん大名行列のようにお供をぞろぞろ連れて回り、忙しい現地自治体に余計な手間をかけてしまうのならば迷惑だろうが、今回の山本議員のケースでは、そのような行動は確認されていない。

ボランティアにも自粛圧力

被災地を支援する際、被災地のリソースを消費するなどしてかえって被災地に負担をかけてはいけないのは当然であり、災害ボランティア活動の大原則であるのは言うまでもない。しかしその原則が独り歩きして、個別の事情を顧みることなく、少しでも被災地に負担をかけたとみなされるやいないなや、SNSで過剰に攻撃されてしまうという現象が生じている。たとえば炊き出しのカレーをたった一杯だけ食べるようなことでさえ、猛烈に叩かれてしまうのだ。

コロナ禍で、外出制限がかかる中、様々な事情により制限に従うことができない人たちを見つけては攻撃する「自粛警察」が問題になった。能登地震でも、SNSでは「被災地に入って混乱を招いている素人」という虚像を血眼になって探している「警察」たちがみられる。しかし災害支援活動に対する「自粛警察」は、少なからず市民による災害支援活動の萎縮を招き、かえって救助や支援の迅速性や効率性を損なうかもしれない。

アメリカのノンフィクション作家レベッカ・ソルニットによれば、大きな事故や災害が起こった際、人々はパニックに陥るという直感に反して、互いに協力し助け合う「災害ユートピア」が生じる(『災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』高月園子訳、亜紀書房 (2010年))という。一方、政府は人々を信頼できず過度に統制しようとするので、そのような人々の連帯を邪魔してしまうというのだ。

軍隊化する災害救助
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