その代わりに本作には、メインの出演者たちに新聞社の記者やカメラマンという役割を与えることで、ジャーナリズムのジレンマをサブのテーマにしている。

ただしその描写は、直截な言葉を使えば安易だ。カメラマンは戦場では標的になりやすい。手持ちのカメラや担いだビデオカメラが遠目には武器に見えるのだ。フィクションとはいえ動きが大胆すぎる。あれでは命がいくつあっても足りない。

20世紀は戦争の世紀と呼ばれていた。そこから人類は進化したのか。少しはマシになったのか。

答えはもちろん否。分断はなぜ起きるのか。これを考察するならば、分断の前に必ず集団化が起きているというプロセスを考えることが重要だ。世界では今、テロへの恐怖や移民問題を契機に集団化が起きている。なぜ集団化は起きるのか。人は群れる生きものだから。観ながらそんなことを考えた。

newsweekjp_20241010105236.jpgシビル・ウォー アメリカ最後の日

©2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

監督/アレックス・ガーランド

出演/キルスティン・ダンスト、ワグネル・モウラ

(日本公開中)

<本誌2024年10月15日号掲載>

【動画】映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の予告編を見る
【関連記事】