もちろん、この2つはくっきりと分けられるものではない。『護られなかった者たちへ』は話題作の系譜だが、弱者切り捨てを進める日本社会と政治に、強い怒りをぶつける問題作でもある。

もう一度書くが『とんび』は凡庸だ。でもというか、だからこそというか、僕は3回ほど嗚咽(おえつ)しそうになった。誰もが泣く。徹底してハートウオーミング。そういう映画にしようと瀬々と脚本の港岳彦は共犯した。

決して映画通に評価される作品ではない。そんなことは承知で作られた映画なのだ。

magmori230728_tonbi2.jpg『とんび』(2022年)

監督/瀬々敬久

出演/阿部寛、北村匠海、薬師丸ひろ子、杏

<本誌2023年8月1日号掲載>
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