でも同時に静かだ。互いの体を貪り合いながら、互いの過去の記憶をたどる。東日本大震災以降、僕たちは滅亡する自分たちを、意識の片隅で常に意識しているのかもしれない。それはエントロピーが増大してあらゆるエネルギーの動きが停止した宇宙のように、疫病が蔓延した世界のように、とても静謐なカタストロフィーだ。
僕はそう解釈した。荒井からは森君は何を言ってるのかね、と言われるかもしれないけれど。
ネットで検索したら、本作上映後のトークで、荒井がこんなことを言っていた。最後にペーストする。
「人間って、昼間もあるけれど夜もある。昼だけ描く、そういうのっておかしいな、僕はむしろダークサイドを描くことが人間を描くことだと思っています」
『火口のふたり』(2019年)監督/荒井晴彦
出演/柄本佑、瀧内公美
<本誌2021年1月26日号掲載>
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます