終盤に明らかになるラスボスの存在を、大島組常連の俳優である小松方正が、まさしく全身で体現する。

断言するが、ほかの誰にもこんな映画は撮れない。映画を通して国家権力と闘い続けた大島渚そのもの。でもチームワークの映画でもある。

フィールドワークを終えたゼミ生たちは、死刑制度について悩み始める。賛成と反対が拮抗する。分からなくなりましたと吐息をつく。

うん。それでよい。大切なのは知ること。知って自分で考えること。そして映画は一人一人の思考や煩悶に、とても重要な補助線を提供してくれる。

NW_MCM_02.jpg『絞死刑』(1968年)

監督/大島渚

出演/佐藤慶、渡辺文雄、石堂淑朗、足立正生

<本誌2020年10月27日号掲載>

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます