こうして社会の支持を失った日本の左翼運動は壊滅的なダメージを受ける。反体制や左翼的運動を標榜しながらドキュメンタリーを撮っていた黒木和雄や田村正毅たちも同じ衝撃を受けたことは想像に難くない。映画に描かれる「ええじゃないか」は、個の理念やイズムなどひとまとめにのみ込む社会の集合無意識へのメタファーで、『竜馬暗殺』は自分たちへのレクイエムだ。

もちろん当時の僕にそこまでの見方はできない。その知識も視点もない。でも胸の裡(うち)で呼応する何かがあった。映画とはそういう存在だ。

houga200718-cover01.jpg『竜馬暗殺』

監督/黒木和雄

出演/原田芳雄、石橋蓮司

   中川梨絵、桃井かおり

<本誌2020年3月3日号掲載>

【関連記事】山本太郎現象とこぼれ落ちた人々

【関連記事】「反安倍」運動に携わるシニア左翼の実態と彼らのSEALDs評

20200721issue_cover150.jpg
2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます