喋った内容がYouTube動画に転載されると、削除される恐れがあるから、「アレ」とか「お注射」などとぼかしているが基本は反ワクチン一本槍である。また「がん」に関してことさら深いこだわりを持っている。

とりわけ神谷氏によると、日本は先進国の中でも近年がんが急増しており、その原因に食品添加物があるというが、医学的根拠は示されていない。がんの発生メカニズムには謎の部分も多い。高齢化も原因のひとつとされるが「これだ」と断定できる因子はない。通常、複数の因子が重なって起きるとされる。にもかかわらず「がんの原因はこれだ」と医学博士(医師)でもない人間が公衆に向かって断言してよいのだろうか。

参政党が一貫して主張しているのは不純物のない、「混じりけのない純粋なる何か」であり、それが有機農法、食品添加物禁忌へとダイレクトにつながっている。彼らの中では反ワクチンと無農薬・有機農業・食品添加禁忌は一本筋が通っている。まず彼らの頭の中には「かつて存在した純潔な生活・農業・健康」が至高のものとして存在し、それが現在の医療や大資本(グローバル企業、グローバリスト)によって「汚染」されているという考え方である。

もうお分かりかと思うが、こういった主張は、戦後の先進国の中で反大量消費社会運動などとして勃興し(もちろん国によって差異はある)、概ね「リベラル」層の中で喧伝されてきたきらいがある。なぜなら大量消費社会をけん引しているのは大企業・資本家であり、製薬会社と政界は結託して巨大な支配層を形成していると考えているから、既存権力に対してアンチになるからである。よって参政党も、自民党に対してきわめて批判的で、寧ろ敵愾心すらあるように思える。参政党が「自民党の補完勢力」などと揶揄されているものが散見されるが、それは大きな間違いで、彼らは自民党=グローバル企業と考えているから、自民党と親和性は薄い。

しかし参政党の面白いところは、こういった一見してオーガニック信仰・反大量消費社会・自然産品礼賛を謳っておきながら、"日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり"と謳って「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」「外国人労働者の増加を抑制し、外国人参政権を認めない」などと急に排外的な主張が混じっていることである。だがこれは何ら不自然ではない。

「混じりけのない純粋なる何か」をそのまま延長していくと、「日本は純血の日本民族だけが独占する、混じりけのない国民国家であるべきだ」という結論に行きつくのは当然の帰結だからだ。

参政党と似ているとは全く言わないが、かつて有機農法や無農薬をことさら礼賛し、自然との調和や自然の中でのキャンプや観光を推奨し、健康増進(禁煙、禁酒など)を展開した政党が戦前のヨーロッパに存在した。「混じりけのない純粋なる何か」を推し進めると、必然的に純血主義に行きつく。だから彼らは、添加物とか農薬とかが大嫌いで、国産とか(国産の)種子とかに拘る。

こうして「不純である」とみなした所作や人々を排斥する行為を強めていく。繰り返すが、参政党がこれと似ていると言っているわけではない。歴史を振り返ってみると、偶然にもこうした事例があるよ、と言っているだけだ。この問題については、既に「排外主義と有機農業」に関しての専門書が刊行されているので詳細はそちらに譲る。

オーガニック信仰と保守要素の合体...突然参政党の主張に目覚める人々

参政党は、オーガニック信仰(延長するとそこに、不純物であるとみているワクチンへの禁忌も入る。そしてそこには常に「ニセ科学」が付きまとっている)に、ネット保守の要素を合体させた『オーガニック右翼(保守・右派)』という、私自身、この規模で展開されているのを初めて目撃した国政政党である。

参政党の演説や集会の内容を仔細に点検していくと、「国防の重要性」とか「愛国心の大切さ」とか「憲法9条改正」とか「先の戦争への肯定(彼らのいう自尊史観)」とか「祖霊崇拝」とか「反リベラル・マスメディア」などという、いかにも保守色の強烈な、いかにもネット保守が好みそうな言説は、「主・従」でいうと明らかに「従」である。従とはいえそれなりに喋ってはいるものの、その内容は既存のネット保守の言説や手垢のついた歴史修正主義と大差ないので、ここに改めて書くことは省く。参政党の実際の街頭や講演会等での内容は、圧倒的にオーガニック信仰である。

政治リテラシーを持たない支持者たち