ロシアは多くの権威主義国の体制を支援しており、それらの国々に存在する過激派・テロリストのネットワークなどを抑圧することに役立っている。そのため、ロシアが政情不安に陥ることで、欧米がカバーできていない権威主義国がテロリスト勢力によって不安定化しドミノ倒しとなるリスクが生じる。
そして、それらの国々はテロリストにとって活動しやすい天国となっていくだろう。当然であるが、力を付けたテロリストはテロ行為を同国以外にも輸出していくことになる。それは冷戦後に発生した対テロ戦争と同じ構図が再び発生することを意味する。SNSなどの発達した情報システムはテロの輸出を以前よりも遥かに容易に行うことを可能とするだろう。
仮に米国内または欧州国内で大規模なテロが発生した場合、米欧中がどのような枠組みでテロに対応するかによって、米中対立の構図にもスピード感を含めた変化が生じることになる。テロ対処の観点から米中対立が表面上は一旦手打ちとなる道も可能性として見据えるべきだ。
現実には上記の2つのパターンの間で落としどころが見出されることになるのだろうが、その場合は双方のパターンのリスクが同時に発生することになる。ロシアによるウクライナ侵攻がどのような結果に終わったとしても、我々はこの出来事が「世界を既に変えてしまった」という認識を持つ必要があるだろう。