アメリカも同様だ。今まで欧州評議会と良い協力関係を築いてきた。トランプ第二次政権が、特に国連で、ロシアと共に複数の重要な決議に反対したことは、欧州にショックを与えた。その一つは、欧州評議会が侵略犯罪に関する特別裁判所の設立に貢献したことを強調する決議だったという。

それでもEU側では、最近のトランプ大統領の対ウクライナの変化を見ながら、ホワイトハウスが最終的に方針を変更し、このイニシアチブに参加することを期待している。


今後は、ストラスブールで正式な投票に付され、正式な作業は2026年中に開始される予定である。

ヨーロッパ人なら「戦犯の裁判」と言えば思い出すのは、ナチスを裁くニュルンベルク裁判(1945ー46)、そして旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(1993)で、「民族浄化」などの「人道に対する罪」等の容疑で起訴されたスロボダン・ミロシェビッチ大統領である。彼は独裁者だったが、最終的にセルビア政府によって引き渡され、獄死した。

プーチン大統領が突然、トルコを仲介にして和平案を提示したのは、このショックにも関係があるという仮説は十分に成り立つのではないか。和平交渉で、この特別法廷が議題にのぼっても不思議はないだろう。

まだまだ紆余曲折があるだろうが、この特別法廷が実現すれば、大きな歴史の転機となるのは間違いない。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます