このイランと実質的に同盟関係にあるとされるのがトルコ。コロナ禍で景気悪化が加速するなか、トルコは新オスマン主義と呼ばれる拡大政策で政権浮揚を図ろうとしており、そこでも過激派が利用されている。

「イスラム国」傭兵を派遣

その第一のターゲットがリビアだ。トルコは昨年末、リビア内戦への軍事介入を宣言、コロナ禍の最中も外国人傭兵を中心に増派を続けた。シリア人権監視団は7月、トルコに雇われてリビアに投入されたシリア人傭兵は既に1万人を超え、中には「イスラム国」戦闘員2500人が含まれていると報告した。アラブ諸国に加えギリシャやフランスも、トルコはリビアの石油や天然ガスを狙うだけでなく領土的、軍事的野心をもって近隣諸国の主権を侵害し、分裂を生み出していると批判している。

イスラム過激派の問題は、コロナ禍を経て一層複雑化している。この問題には、各国がグローバルに協力しなければ立ち向かうことは不可能だ。8月に発表されたイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化合意は、その意味でも大いに歓迎されるべき前進である。

<2020年9月1日号「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より>

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新型コロナウイルス対策として各国が国境を閉鎖し、移動が制限されたことは、グローバル化退潮の証しに見える。しかしこれを好機とばかりに、より一層グローバル化している勢力もある。イスラム過激派だ。

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