<「働き方改革」が始まったのは2016年。だが結局、人々の働き方を変えたのは、改革ではなかった>
【地獄の異変】
人手不足に悩んでいるのは地獄も同じだった。悪魔たちは朝から晩まで罪人たちの舌を抜いたり、鉄棒で殴打したりしていたが、とてもではないが働き手が足りなかった。
そう、地獄はそれだけ多くの罪人であふれていたのである。
そんななか、1人の天使がせっせと火を起こしたり、カマドに薪をくべたりしていた。
新入りの罪人が悪魔に聞いた。
「あの天使はなんですか?」
悪魔が言った。
「天国からの派遣だよ」
気になって調べてみると、「働き方改革実現会議」が発足したのが第3次安倍内閣時の2016年。同年、「働き方改革担当大臣」も設置された。
初代大臣は自民党の加藤勝信氏。「懐かしのクイズ問題」として出題されたら超難問となろう。
働き方改革が掲げられた背景には、労働人口の減少や、労働生産性の低下といった問題があった。具体的には「長時間労働の是正」や「多様で柔軟な働き方の実現」などが目指された。
それでは、ここで問題。2017年に導入された「月末の金曜日は早めに仕事を終えて幸せに過ごす」というキャンペーンの名前は?
答えは「プレミアムフライデー」。やはり、なかなかの難問である。
「一億総活躍社会」という言葉も生まれたが、その後の2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、「働き方改革」をも直撃した。もはやプレミアムフライデーどころではなくなったのである。
しかし、世の中とは皮肉なもの。人々の働き方を変えたのは、改革よりもパンデミックであった。
とりわけ、リモートワークは一定程度定着した。「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた「ワーケーション」という造語も広まった。
政府はスタートアップ支援の強化にも取り組んでいる。働き方の多様性は以前よりも進んだように見える。
それでも無論、「コロナ前とほとんど変わらない」という声もよく聞く。
私はいろいろな出版社の編集者と仕事をするが、会社によって「ほとんど在宅勤務になりました」という人もいれば、「以前と一緒です。毎日、超満員の通勤電車です」という人もいる。
同じ編集者でも随分と状況が異なるようだが、このコラムの担当者がどっちだったか、思い出せない。「企業秘密」ということにしておこう。
結局、私たちの「働き方」は変わったのだろうか。もしかしたら数年後には、「ワーケーション」が超難問クイズの解答になっているかもしれない。
最後に今回はもう1つジョークを。