<サダム・フセイン時代、暴君を「100%」尊敬するイラク人に会った。中東と聞くと「紛争」や「テロ」を連想するかもしれないが、かの地にはジョークや小噺も多い>
【入学試験】
とあるアラブ人の青年が、大学の入学試験を受けた。しかし、彼はどうしても一つの問題を解くことができなかった。そこで彼はやむなく答案用紙に、
「アッラーのみぞ知る」
と書いて提出した。
数日後、合否の通知が届いた。そこにはこう書かれていた。
「アッラーは合格ですが、あなたは不合格」
中東の人々も「ジョーク」が大好きである。中東ではジョークや笑い話を「ヌクタ」などと呼ぶ。アラブ人はとにかくおしゃべり好き。彼らは砂糖のたっぷり入った甘い紅茶や、アルギーレなどと呼ばれる水タバコをゆったりと味わいながら、自慢のヌクタを披露し合う。
中東滞在時に悩まされるのが「インシャアッラー」という言葉。「アッラー」はイスラム教における「神」という意味で、「インシャアッラー」は「神のみぞ知る」「神が望むなら」といった意を表す。先のジョークに出てくるのもこの表現である。
アラブ人はこの「インシャアッラー」を連発する。取材のアポを取ったり、通訳やドライバーと待ち合わせの時間を決めるときなども、彼らは最後に「インシャアッラー」と口にする。これが「きっちりしい」の日本人を不安にさせる。
実際には、彼らは大抵、時間どおりに来るのだけれども。
あの暴君を「100%」尊敬
圧政下にある国民がヒソヒソと独裁者を笑うのは、中東諸国でも同じ。サダム・フセイン時代のイラクを訪れた際、ガイドの男は、
「私はフセイン大統領を尊敬しているよ」
と話していた。私はある日、移動中の車内で彼を問い詰めた。
「君は本当にフセインのことを尊敬しているのか?」
「ああ。100%」
「100%?」
「いや、1000%だな」
彼はそう言った後、私の耳元に顔を近づけてこう囁ささやいた。
「マイナス、ね」