パワハラの横行する組織に、「心理的安全性」など生まれない

パワハラを撲滅し、これからの時代に高い成果を出すためには、「多様性」と「心理的安全性」がキーワードになる。

心理的安全性(psychological safety)とは、他者の反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことができる環境や雰囲気のこと。グーグル社が、成功するチームの構築に最も重要な要素が「心理的安全性」だったと発表したことで、日本でも注目を集めることになった。

大きく成長するIT企業やイノベーションを興し続ける企業で、心理的安全性が重視されているのはなぜだろうか。それは、最先端のアイデアや思考力、企画力が求められる職場では、自分の頭だけで考えても、イノベーションを生み出すような斬新な答えが見つからないからだ。

自分とは違う分野を極めた人や、価値観や発想法が違う人と自由に語り合い、アイデアや意見をぶつけ合い、第三の方法を見つけられなければ、最高の仕事ができない時代になった。新しい価値を生み出すためには、他人の脳をも自由に使えることが求められる。

それを実現するには、多少おかしなことや変なことを言っても恥をかくことがない、という心理的安全性が不可欠だし、自分にないものを持っている人をリスペクトする気持ちが大切だ。どんな相手でもリスペクトし合い、多様性を認めるということである。

パワハラは上司や先輩が行うケースが多いが、一部の企業で導入されている「リバースメンター制度」をご存じだろうか。資生堂の場合、ITに詳しい若手社員をメンターに任命し、経営トップの役員にITツールの使い方を教えるという制度が導入されている。もはや、上司だからと言って、仕事全般で上の立場ではないということも、心に留めておいてほしい。

パワハラ被害をなくすべきなのはもちろんだが、パワハラを止められなければ、イノベーションを生み出せる企業にはなり得ない。時代から取り残されてしまうのだ。この構造が分かれば、パワハラが本当に会社にとって悪である意味が理解できるだろう。

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