規定の改定は、このような状況への批判を受けてのものだった。

ところが、規定の改定後も未成年のリクルートはなくならず、年間約1万5000人がサッカーを理由に、アフリカからヨーロッパへ違法に連れ出されていると推計される。

その多くは違法業者が関与しており、偽造パスポートで親子ともどもヨーロッパに移住させるなどの手段も横行している。アフリカ各国の政府やサッカー協会にはびこる汚職は、これを加速させているといわれる。

2016年、レアル・マドリードが規定に違反した契約をFIFAに止められたが、これは違法なリクルートが続いていることの氷山の一角にすぎない。ヨーロッパでプレーするスター選手を夢見る子どもを食い物にする大人は、後を絶たない。

サッカーの光、サッカーの影

セネガル代表は国民のスターだ。セネガルの多くの少年が彼らに憧れ、ヨーロッパのビッグクラブに所属することを夢見る。それは他のアフリカの国でも変わらない。

人種差別を背景にするとはいえ、「アフリカの才能の還流」はアフリカ各国の代表をさらに強化し、それにつれてスター選手への憧れはさらに強くなる。貧困が蔓延し、治安もよくない国が多いなか、サッカーはアフリカの人々の希望になっている。

しかし、それは違法な業者が付け入る隙を大きくし、未成年の「筋肉流出」という名の人身取引を生みやすくもする。ビッグビジネスとしてのサッカーがこれを支えている。

アフリカ・サッカーは、「身体能力」だけで語れるものではないのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。他に論文多数。

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