この社会構造を公安警察KGBの後身FSBが津々浦々に張ったネットワークで監視する。00年、そのFSBを力の基盤とするプーチンが権力の座に就くと、リベラル分子は権力から遠ざけられた。

そして22年2月にウクライナ侵攻が始まり、リベラル・インテリは西側の友人との交信もはばかられる時代となった。モスクワに勤務した筆者にとって、彼らとの付き合いが一番面白かったが、今では彼らはロシア至上主義に走ったり、「ロシアをこんな国にした責任はアメリカにある」と恨み言を述べたり、と散り散りになった。

ナジェージュジンはそのような、裏切られたリベラルの最後の生き残りだ。ロシア当局が彼の大統領選立候補を認めるかどうかまだ分からないが、認められたとしても、リベラル嫌いの大衆は彼に投票するまい。投票したとしても、ロシアの電子集票システムがそれをきちんとカウントするかどうか......。

ナジェージュジンという名は「希望」というロシア語から派生している。次の選挙でも、リベラルの希望はつぶされることになるだろう。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 日本の高齢者施設ランキング
2026年8月4日号(7月28日発売)は「日本の高齢者施設ランキング」特集。

民間介護施設250/療養型病院200/リハビリテーション病院300――世界視点で評価された日本の施設を一挙紹介。[PLUS]和田秀樹:失敗しない施設選び/いとうまい子:介護と健康寿命と研究と

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます