しかし認識するべきことは、急速な経済成長によって国力が増大したことによって、中国は地域のパワーバランスの変化の担い手となり、国際社会における存在感を高めているということである。この存在感の向上は、中国が「打ち上げた」構想への求心力を与え、実現に向けた影響力をも高めつつある。中国の構想力を過大評価するべきではないが、過小評価するべきでもない。

 今日の日中関係において、日本の平和と安定、そして繁栄のために、中国との間の領土や歴史認識をめぐる問題の解決は重要である。しかし日中関係に存在する課題はそれだけではない。その先にある課題に目を向けよう。

 日本社会はアジア太平洋地域秩序に対する構想力と発信力を高めつつある中国と向き合っている。これからの日中関係は、「地域と国際秩序のあり方をめぐる構想の協力と競争の関係」となることを、あらためて認識する必要がある。