2015年は、戦後70年という意味において日中関係にとってのメモリアル・イヤーであった。戦後70年を前にして安倍総理は、戦後50年の1995年に閣議決定された村山談話、戦後60年の2005年に閣議決定された小泉談話にならって、20世紀以来の日本の歩みを総括する談話を作成することを明らかにしていた。その内容とともに、「談話」への中国政府の対応に注目が集まった。
現実には、中国の対応は抑制的であった。8月14日に閣議決定の後に公表された「内閣総理大臣談話」に対して、中国側は外交部部長ではなく副部長が在中国日本国大使に抗議をするのではなく、歴史問題に関する中国側の厳正な立場を述べるにとどめた。2013年12月に安倍首相が靖国神社を参拝した際には、外交部長が在中国日本国大使に厳粛な抗議をしていたとは異なる。中国側は、「談話」に満足はしないものの、抗議はしないという姿勢を示したのである。
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首脳交流に象徴されるように、日中関係は「改善」にむけて両国間の空気が温まっているようにみえる。そしてこれと同じ歩みで、2015年の両国政府は実務的な話し合いをすすめている。11月にソウルで開催された首脳会談では、(1)外相相互訪の再開を含むハイレベル交流の重要性を確認、(2)日中ハイレベル経済対話の2016年早期の開催、(3)日中両国間で海上における不測の事態の発生を防止するために、防衛当局間の空海連絡メカニズムの早期運用開始にむけて努力すること、(4)東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするために日中双方の法的立場を損なうことなく協力することを確認した「2008年合意」にもとづいて、東シナ海資源開発問題についての協議の再開を目指すこと、(5)経済・金融分野の協力を深化させること、について認識が一致した。このほか2012年5月に第1回会合が開催された後に開催されていなかった日中交流事務レベル海洋協議が、関係改善の雰囲気が出てきた2014年9月に第2回、その後15年1月と12月に第3回、第4回と開催されている。日中安保対話は、4年ぶりに2015年3月に第13回目の対話が開催された。
関係改善より重要なことがある
日本社会の中国に対する認識は改善にほど遠いのかもしれない。2015年9月の「中国人民抗日戦争と世界反ファシスト戦争勝利70周年記念大会」での習近平国家主席による演説や軍事パレードが日本社会に与えた不安感は小さくない。海上保安庁によれば中国海警局の船舶は繰り返し沖縄県尖閣諸島の領海へ侵入している。また防衛省は中国海軍の情報収集艦が尖閣諸島南方や房総半島南東の接続水域の外側を往復して航行していることを発表している。