デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウンゴールで五輪に失敗した」

2021年6月9日(水)18時30分
小暮聡子(本誌記者)

「始まる前から面白くない」と語るデーブ・スペクター HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN 

――テレビ局の中で、仮に中止になったら五輪中継の放送枠をどう埋めるかという話は出ているのか。

出ているけど、穴埋めは意外に簡単だ。昼間の時間帯には、いま昼間にやっている生番組をいつものように放送するだけだ。生放送は前日に内容を決めるくらいだから、今から7月の内容なんてどっちみち作っていない。

夜の試合は、普段やっているバラエティーの2本撮りを3本撮りにすればいいだけ。一番かわいそうなのは、テレビ局で休めると期待している人たちが休めなくなること。

オリンピックは、自分の国で開催されるとテレビの人間にとっては面白くもなんともない。外国に行って中継するから観光もできて楽しいわけで、山手線で行くようなオリンピックは面白くない。日本でやると、伝える側は一番盛り上がらない。

――国外からの観客は入れないことになったが、海外メディアはやって来る。どう報じるのか。

中国からは3000人来ると聞いている。お金もあるし近いから。海外メディアは、通常だとレポーターが来て、原宿に行ったり日本のトレンドを紹介したりということをやるのだが、今回は行動制限があるからお決まりのキデイランドに行けない。

今も、海外メディアが五輪関連で報じるとしたらワクチンの遅れなどトラブルばかり。海外の人はみんなあきれている。1年延期になったために、しかも強引に開催することになったために、日本のイメージダウンになっている。

あれ? 日本はあんなに経済大国になって何でも一生懸命賢くやってきたのに、なんでワクチン接種が進まなくて病床が逼迫するのって。みんな驚いている。

――五輪があるために、全世界に日本の現実がバレてしまった。

オリンピックのせいで、イメージダウンになった。さっきも言ったように、日本はそもそもイメージアップする必要もなかった。思い出せば分かるけど、コロナの前までは日本は大ブーム。銀座を歩けば外国人だらけで笑いが止まらない。客不足に悩んでいた地方の旅館も、外国からの観光客のおかげで繁盛していた。

五輪開催中の混み過ぎる時期に、オリンピックだから日本に行こうという観光客はほとんどいない。開催期間中は1カ月近く日本が世界中のテレビで報じられるから、来年日本に行ってみようという人はいるかもしれない。そういうプロモーションも兼ねていたのかもしれないが、コロナ禍では日本を紹介する報道だっていつものようにはできない。

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