ウクライナへの愛国心でイルカが自殺!? クリミアで翻弄されるイルカたち

2018年5月25日(金)12時20分
松丸さとみ

クリミア半島とともに翻弄されるイルカ

軍用犬の存在は知られているが、イルカなど海洋哺乳類の軍事訓練を行っている国も複数ある。

英国軍のウェブ・ニュース・メディア「フォーシズ・ネットワーク」が昨年10月に掲載した記事によると、これまでイルカを軍事訓練したことが知られている国は世界で4カ国ある。米国、ソ連/ロシア、イラン、そしてウクライナだ。

イルカを最初に軍用に用いたのは米国で、1960年に海軍がバンドウイルカとカリフォルニアアシカを機雷の探知などに訓練したのが始まりだという。サメや鳥など全部で19の動物が訓練されたが、イルカとアシカが最も高い能力を発揮したらしい。

1965年にソ連もセバストポリ近くで海洋哺乳類に関する研究を開始。冷戦時代には、イルカは不審物の発見や潜水艦や機雷の探知などに活躍した。敵の船に爆発物をしかけるよう訓練もされていたようだ。

ソ連崩壊後は、この施設はウクライナの手に渡ったが、フォーシズ・ネットワークによると施設は放置に近い状態だったらしい。2000年には、イルカはイランに売却されたという報道もあった。2012年、ウクライナはこの施設の再構築を始めたものの、前述のとおりロシアのクリミア併合で2014年、イルカと施設は再びロシアの手に渡った。

ロシア軍は現在も、イルカを何らかの目的で飼育していると見られており、2016年には軍が5頭のイルカを購入するとの計画が明らかになったことがある。当時の米ビジネス誌フォーチュンによるとロシア政府はイルカの使用目的について言明せず、「戦闘目的ではない」とだけ明かしていた。

ロシアの手に渡ったウクライナアの軍用イルカ(2014年-CNBC)

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ