第31回全米映画俳優組合賞(SAG賞)授賞式での『SHOGUN 将軍』キャスト陣(ロサンゼルス、2025年2月23日)REUTERS/Mario Anzuoni
2024年秋、テレビシリーズ『SHOGUN 将軍』が、非英語作品として初めてエミー賞最優秀ドラマシリーズ賞を受賞したことは、単なるエンターテインメント業界の評価にとどまるものではなかった。この功績は、日本のサムライ文化がどのように理解、解釈され、国際的に広まってきたかという何世紀にもわたる過程において、転換の契機となり得るものだった。
しかし、この成功譚の深層には皮肉な現実がある。日本の伝統文化に携わる国内人口が減少し、高齢化が進む一方で、日本の伝統文化、特にサムライ文化に対する国際的な関心はかつてないほど高まっているのである。
この矛盾は、娯楽の枠を超えた、文化表象における本質的な問題を明らかにしている。
日本が万国博覧会に初めて参加した1867年のパリ万博を皮切りに、明治政府は、何世紀にもわたり日本社会の中核をなしてきた武士階級を含む封建的な過去から決別しようとした。これは、近代化を進める国家にとって、武士道の精神が西洋諸国からの理解や経済発展の妨げになると考えられていたからだ。
ところが、このサムライのイメージこそが欧米社会にとって日本を特徴づける要素となり、一世紀半以上にわたり国際的な日本観に深く影響を与え続けてきた。しかし、そこで形成されたサムライ像は、しばしば単純化され、ステレオタイプ化されたものであった。
単純に歴史的誤認を正したり、時代遅れの固定観念を刷新したりすることも依然として重要だが、欧米社会で長年蓄積されてきたサムライ像が単純化されたものである以上、今日、我々が直面している課題はそれらにとどまらない。
より大きな課題は、長年の単純化された描写によって形作られてきた欧米のサムライ観に、実際のサムライ文化が持つ豊かで多面的な要素をいかに取り込んでいくか、という点にある。
ここでは、サムライ文化がいかに海外に伝えられてきたかという歴史的な軌跡をたどりながら、サムライに対する西洋的理解を形成してきた主要な転換点、メディア、解釈の枠組みを分析する。
さらに重要なのは、「名誉の掟に生きる武士」という一面的なイメージを超えて、この社会階級を特徴づける歴史的な奥深さ、文化的洗練、そして時代ごとの姿の変化を理解することで見えてくる可能性を探ることである。
