コラム

北極海支配まで狙う中国に、日本とロシアは雪解けで対抗せよ

2018年06月02日(土)12時00分

しかし、時代は変わった。太平洋への出口どころか、北極海航路を失う危険性までロシアに襲い掛かろうとしている。強引にも北極海を「氷上シルクロード」と呼んで、虎視眈々と関与を深めているのは中国だ。

中国は既に日本海で軍事演習を繰り返しているだけでなく、北上して北海道近海から北太平洋、そして北極海への進出を果たしている。中国の進出は日ロ両国にとって脅威であり、両首脳もその危機意識を共有しているはずだ。

既に日本は90年代から「ユーラシア外交」を展開しよう、と関係各国に度々アプローチしてきた。モンゴルを橋頭堡にし、親日的な中央アジア諸国との連携を強化。西アジアのトルコまでのルートを打開する戦略だ。ユーラシアには豊富な地下資源が埋蔵されており、政情不安定な中東に代わる経済活動の舞台ともなる。

一方、いま中国が進めている巨大な政治経済構想「一帯一路」はどうか。実はこの構想はロシアの裏庭である旧ソ連圏の利権を侵食し続けており、プーチンも強く警戒している。こうしたロシアの姿勢は、「一帯一路」構想に手をこまねく日本にとって有利だ。

日ロ両国は過去の因縁を清算して、ユーラシア外交を立て直す時が来たようだ。そうしないと早晩、北極海航路が中国の「シルクロード」となり一帯一路にのみ込まれかねない。

<本誌2018年6月5日号掲載>

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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