最新記事

クリミア奪還

私ならこうしてクリミアを奪還する──米軍事専門家3人

How Ukraine could retake Crimea

2023年5月2日(火)19時00分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ドローンによると思われる攻撃で燃え上がる、クリミアの軍港セバストポリの燃料貯蔵施設(4月29日) Governor of Sevastopol Mikhail Razvozhaev/Telegram/REUTERS

<まもなく大規模な反転攻勢に出ると予想されているウクライナ軍が確実に効果的にクリミアを奪還するために踏むべき段階とは>

「クリミアは解放される。もう後戻りはできない」――ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権でクリミア問題を統括するタミラ・タシェワは4月25日にこのように述べた。

【動画】ロシアで相次ぐ火災、爆発、火災......これはウクライナの「反攻準備」の一環か?

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が隣国ウクライナに本格侵攻を開始してから14カ月以上。ウクライナによる反転攻勢が迫っていると予想されるなか、ウクライナがどのようにしてクリミアを奪還できるかに関する論調も強気に変化した。タシェワによれば、ゼレンスキーは既に政府当局者らに、「クリミア奪還直後」にどう行動を取すべきかを指示しているという。

ロシア側も、クリミアが近いうちに「前線」になり得るという現実に向けた備えを進めている。米海兵隊の元大佐でシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」上級顧問のマーク・カンシアンは本誌に対して、ロシアがこの数週間、クリミア半島沿岸の広い範囲と南部セバストポリの海軍基地の要塞化を進め、ウクライナ軍の進軍に備えていると指摘した。

戦争は長期間続く

カンシアンは、クリミア奪還は可能だが容易ではなく、期待されているほど迅速には達成できないかもしれないと予想する。ウクライナは今後、ロシアに占領されているドネツクやルハンスク、ヘルソン、ザポリージャやクリミアの奪還を目指して、長期にわたる攻撃を仕掛ける可能性が高いと述べた。

「一度の攻撃でロシア軍を追い出すことはできないだろう。攻撃は1カ月にわたって続き、限界点に達するだろう」とカンシアンは指摘。限界点とは、攻撃側の優勢のピークを指す言葉で、このピークを過ぎると部隊の消耗や損耗により戦闘力は減退していく。

「その後は立て直しの時期があり、次の戦いは夏の終わり頃かもしれない。攻勢に出て、一部の領土を奪還し、いったん攻撃を止めて立て直しを行い、再び攻撃を行う。このような展開になるだろう」とカンシアンは述べ、さらにこう続けた。「スペインの内戦がこれと同じ展開だった。内戦は2年半にわたって続き、勝利した側(反乱軍)は幾度にもわたって攻勢をかけ、そのたびにより多くの領土を制圧していった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国気候変動特使、8─9日にワシントン訪問=米国務

ビジネス

為替介入については実施の有無含めコメントは控える=

ワールド

イランとパキスタン、ガスパイプライン計画完成の手立

ワールド

フィリピン4月CPI、前年比+3.8%に加速 食品
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中