最新記事
ドイツ

女性のトップレス遊泳、公営プールでベルリン当局が許可 その理由は?

2023年3月20日(月)16時00分
青葉やまと

女性は当時、5歳の息子を連れていた。ドイツ紙に対し、「私にとって、そして息子にもこう教えていますが、(男女に)それほど違いはないのです」と述べている。男女で二次性徴後の身体に違いが出ることを認めつつ、「暑ければ男性は衣服を脱ぎ去る自由がありますが、女性にはそれがありません」と不平等を訴えていた。

一方、トップレスの許可と男女平等の関係を疑問視する声もある。ベルリン在住のある女性はCNNに対し、ささいな苦情からトップレス実現に至った判断は「たしかに素晴らしい」とコメントしながらも、「けれど私には、男女平等に具体的にどう影響があるのか、よく分かりません」と戸惑いを露わにしている。

各国のメディアの反応は? 欧米諸国へも波及は考えにくい状況

日本に住む私たちからすると、女性の胸部を公共の場で露わにしてよいとの判断は、大胆な決定にも思われる。このような動向は、順次欧米の各国に波及してゆくのだろうか?

男女平等の意識が高まる諸外国であっても、今回のような判断がドイツ国外に即座に広がることはないかもしれない。ロンドン大学ゴールドスミス校のキーオン・ウェスト教授(社会心理学)は、米ワシントン・ポスト紙に対し、ドイツの人々はヌードに対して「一般的にかなり寛容である」と説明している。

ドイツではヌードが「フリー・ボディ・カルチャー(身体を解放する文化)」の一環と位置づけられており、必ずしも性的なものとの認識はないのだという。裸に関しておおらかな今回の決定は、130団体以上のナチュラリスト・クラブが存在するドイツならではの、独自文化に根ざしたものだと同紙は捉えている。

英BBCは、「国外からドイツを訪れる人々は、ドイツ人が裸のまま湖で遊び、公園でいびきをかき、そしてサウナで汗を流す姿に、驚いたりときには困惑を覚えたりしている」と指摘する。記事はまた、「だがこの国は、公の場でのヌードが適切であり、かつ健全であると判断している国なのだ」とも補足し、ヌードに関し異なる価値観を持った国だと説明している。

胸部を隠すことはマナーの一環なのか、それともその強制が権利の侵害にあたるのか、文化圏によって捉え方は大きく変わってくるようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中