最新記事
ジョージア

もう一つの隣国ジョージアで「ロシア化反対」の大規模デモ

Protests ignite in another of Russia's neighbors

2023年3月9日(木)19時49分
デービッド・ブレナン

首都トビリシの通りを埋め尽くし、警官隊と対峙するデモ参加者(3月7日) Zurab Javakhadze-REUTERS

<ロシア発の「外国の代理人」法案に抗議、ジョージアの首都トビリシにEU加盟を望む親欧米派が集結、一部暴徒化する騒ぎに>

黒海に臨むロシアのもう1つの隣国ジョージア(グルジアから国名変更)。首都トビリシでは3月7日、大規模なデモが発生。通りを埋め尽くした市民が夜を徹して治安警察と対峙した。

デモは議会で審議中の法案に抗議するもので、参加者たちは赤と白の国旗とともに、ウクライナ、NATO、EUの旗を掲げ、「ロシアの法律はごめんだ」と叫びながら、通りを練り歩いた。暴徒化した一部の参加者が、治安警察に石や火炎瓶を投げつけ、警察側が放水と催涙ガスで応じる騒ぎとなった。

問題の法案は、外国からの寄付が資本の20%以上を占める組織に「外国の代理人」として登録を義務付けるもので、ロシアをはじめロシア寄りの旧ソ連諸国に同様の法律がある。

ロシアとEU-NATOとの対立が深まるに伴い、ジョージアの戦略的な重要性は高まる一方で、西側の一員になることを望むジョージアの民主派はロシアの内政干渉や情報工作を警戒している。

Shutterstock_667277929.jpg
同じ黒海を囲むウクライナ、モルドバと共にロシア圏からの脱出を図るジョージアだが Peter Hermes Furian-shutterstock


大統領は拒否権発動を表明

訪米中のジョージアのサロメ・ズラビシビリ大統領は、アメリカのメディアに対しロシアをはっきりと名指しして、次のように語った。

「誰も必要としていないこの法律は突然降って湧いたわけではない。ロシア政府の差し金によるものだ......自国の未来はヨーロッパにあると確信するジョージアの人々は、この未来を奪う暴挙を決して許さない」

ズラビシビリは、この法案に拒否権を発動すると明言した。

ジョージアの議会(一院制)は読会制を採用しており、法案は3段階の読会で審議される。与党「ジョージアの夢」が議会の多数議席を握っており、与党内の新ロ派が提出した問題の法案は今週、第1読会で可決された。たとえ大統領が署名を拒否しても、議会の圧倒的多数が賛成すれば、これを覆せる。今のところ法案に反対票を投じた議員は13人だけだ。

ジョージア内務省の8日の発表によれば、7日夜の騒乱で66人が逮捕された。デモ隊は議事堂に通じる道路の封鎖を試み、議事堂や警察車両に放火。手術が必要な数人の重傷者も含め、警察官50人前後が負傷したという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏新党結成「ばかげている」、トランプ氏が一蹴

ワールド

米、複数の通商合意に近づく 近日発表へ=ベセント財

ワールド

米テキサス州洪水の死者69人に、子ども21人犠牲 

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中