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インドが見つけた「リチウム」という宝の山...専門家はさまざまな障害を指摘

2023年2月21日(火)10時40分
マイケル・クーゲルマン(ウッドロー・ウィルソン国際研究センター上級研究員)
太陽光パネル

インドでも再エネ転換が急務 ABHISHEK CHINNAPPA/GETTY IMAGES

<リチウム大国である中国に対抗する道は開かれるか>

インド政府当局は2月9日、カシミール地方のインド実効支配地域リーシー地区で推定590万トンに及ぶリチウム資源を発見したと発表した。

【動画】インドで見つかった590万トンものリチウム資源

リチウム資源の80%を輸入に頼るインドにとって、この発見は地政学上のゲームチェンジャーになるかもしれない。

ノートパソコンから電気自動車(EV)まで、充電池の原料として幅広く使われるリチウムは、その希少性と需要拡大のため世界中から熱い視線を浴びている。

太陽光パネルやEVに使用できるようになればインドの再生可能エネルギー開発に弾みをつけ、脱炭素化を促進できるかもしれない。リチウム大国である中国に対抗する道も開けてくる。

一方で専門家は、インドがリチウム採掘や精製の技術を整えるのに最短でも10年かかるとみる。採掘の過程では汚染物質が排出されるし、近隣のパキスタンが地元住民による採掘反対の動きを利用してくる可能性もある。

インドがリチウムを実用可能な資源として手にするためには、さまざまな障害がありそうだ。

From Foreign Policy Magazine

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