最新記事

ウクライナ戦争

「砲撃」の嵐の中で老人を救出...ウクライナ東部、最前線を捉えた緊迫の現場映像

2022年12月2日(金)18時54分
ダニエル・オング
ドンバス地方のウクライナ兵

ドンバス地方の前線に展開するウクライナ兵(11月4日) Clodagh Kilcoyne-Reuters

<ロシア軍の攻撃が続くドンバス地方で、年配女性を命がけで救出するウクライナ兵の英雄的な行動を撮影した動画が公開され、称賛を浴びている>

ロシア軍の激しい攻撃を受けるウクライナ東部ドンバス地方の最前線で、ウクライナ軍兵士らが高齢の女性を救出する様子を捉えた動画が公開された。そこには、女性を乗せたトラックがロシア軍による砲撃を受けて走行不能になり、必死で安全な場所まで徒歩で移動するという、まさに命がけで避難する緊迫した現場の状況が映っている。

■【動画】ロシア軍の砲撃を受けながら女性を救出するウクライナ兵、緊迫の現場映像

「ドンバス避難作戦」を展開していたウクライナ軍兵士らは、「ガルカ」と名乗る高齢女性を前線近くにある女性の自宅から救出した。その後、女性と兵士らはトラックに乗り込み、交戦地帯から離れた場所への移動を試みた。

しかし、トラックがロシアによる砲撃の標的となり、徒歩で安全な場所まで避難することを余儀なくされた。

ウクライナ国防省は、この時の様子を捉えた動画を11月28日にツイッターで公開。動画には、女性がその後、医師の手当てを受ける様子も映されている。「ドンバス避難作戦のチームの有志が、ロシアの激しい砲撃からおばあさんを救った」と同省は投稿した。

兵士がトラック購入の寄付を呼びかけ

女性の救出に伴う死傷者は報告されていないが、作戦に使用されたトラックは爆撃で破壊された。作戦に参加した兵士の1人、イグナチオ・イブレフ=ヨークは現在、部隊が避難に使用する新しいトラックを購入するための寄付を募っている。

彼はツイッターで、「トラックよ、ありがとう! 長くはもたないのが残念だ。新しいトラックの購入を支援してくれる人は、私のページにあるリンクか、私の経歴にあるペイパルの情報から寄付が可能だ」と呼びかけている。

ロシアとウクライナの紛争は10カ月目に突入した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2月にウクライナで「特別軍事作戦」を開始して以来、ウクライナでは民間人の死者が子ども419人を含む6655人に上ったとされる。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の11月27日の報告書によると、負傷したウクライナ市民は1万368人で、そのうち9352人はロシア占領下にある東部ドネツク州とルガンスク州の住民だ。

OHCHRは、実際の数字はこれをはるかに上回る可能性があると指摘。また、敵対行為の激しい地域では、民間人の死傷者の報告が遅れていると説明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米当局が欠陥調査、テスラ「モデル3」の緊急ドアロッ

ワールド

米東部4州の知事、洋上風力発電事業停止の撤回求める

ワールド

24年の羽田衝突事故、運輸安全委が異例の2回目経過

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体が技術供与 推論分野強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中