最新記事

軍事支援

「ロシア軍はすぐに弾も兵士も使い果たす」──ジョンソン英首相

Russian Army Could Soon Run out of Weapons and Troops: Boris Johnson

2022年6月23日(木)15時17分
ジェイク・トーマス

反撃のときは近い?(6月22日、キーウ。戦死した民兵司令官の葬儀)Gleb Garanich-REUTERS

<ウクライナが反転攻勢をかけられる立場にある以上、西側諸国は支援を継続すべきだと主張>

ボリス・ジョンソン英首相は、ロシア軍はウクライナ東部への軍事侵攻に多くの兵力や資源を費やしており、これが今後のロシアの進軍を阻む要因になる可能性があると指摘した。

ロイター通信によれば、ジョンソンは6月22日付の南ドイツ新聞のインタビューの中で、ロシア軍の勢いや資源枯渇の可能性について、英国防情報当局による分析を引用して説明した。ロシアはウクライナ東部の制圧を優先する戦略転換を行って以降、着実に制圧地域を拡大していると報じられているが、ジョンソンは今後の戦況についてウクライナ側により楽観的な見方を示した。

ロシアは侵攻開始当初にウクライナの首都キーウ(キエフ)制圧に失敗した後、東部ドンバス地方の制圧に戦力を集中。その戦略は一定の成功を収め、要衝セベロドネツクの大半を支配下に収めた。

だがロシア軍のこの勢いは続かないだろうとジョンソンは示唆する。「ロシアは今後数カ月で、軍事資源を使い果たして勢いを失う可能性がある。それが英国防情報当局の見解だ」と同紙に語った。

今の勢いは続かない

英国防省は6月3日に発表した戦況分析の中で、ロシア軍が「自ら生み出した勢いを維持」しており、近いうちに東部ルハンシク(ルガンスク)州全域を掌握する可能性があるとの見方を示した。

だがその成果は「大きな代償」と引き換えに手にしたものであり、ロシア軍が勢いを維持するためには、「大規模な兵力と軍事設備を投入し続ける」必要があると同省は分析した。

ジョンソンはウクライナと同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領の熱心な支持者のひとりで、17日にはキーウを訪問して注目を集めた。26~28日にドイツで開かれるG7首脳会議でも、ウクライナへの軍事支援の継続を主張するつもりだという。

「ウクライナが反転攻勢をかける立場にある以上、支援を続けるべきだ。彼らが求める装備を供与する」とジョンソンは述べた。

ジョンソンは南ドイツ新聞をはじめ、ヨーロッパの複数のメディアのインタビューに対して、同様の主張を展開した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中